秋山直人 弁護士(第二東京弁護士会)・宅地建物取引士・不動産鑑定士・その他
建築基準法63条は、民法234条の特則と解されていますが、防火地域又は準防火地域でないなら、建築基準法63条は適用されないので、民法234条1項により、境界線から50cmは離さないとダメだと思います。
相手が交渉に応じないなら、建築を中止させるには、まず裁判所に仮処分を申立てて認めてもらう必要があるでしょう。
民法236条の「異なる慣習」があるか、という問題はありますが、そう簡単には「慣習」は認められないと思います。
掲示板での相談で、勝てるかどうか、確たる見通しは回答できませんが、民法234条1項からすれば、請求が認められる可能性はありそうです。
民法234条2項の「建築に着手した時から」については、常識的に考えて、隣地所有者が違反に気付くタイミングですから、設計図が完成してからではなく、現地で着工してからだろうと思います。
(参考条文)
民法
(境界線付近の建築の制限)
第二百三十四条 建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。
2 前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。ただし、建築に着手した時から一年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。
(境界線付近の建築に関する慣習)
第二百三十六条 前二条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
建築基準法
(隣地境界線に接する外壁)
第六十三条 防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。
※この投稿は、2023年10月13日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。