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借主過失による破損の原状回復について

相談者No.327
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借主が浴室の窓辺に置いていた植木鉢を落として浴槽の底部を割ってしまったことが退去後に発覚しました。原状回復にあたり、管理会社より浴槽の交換代として見積が30万円で出てきました。管理会社いわく、借家人賠償保険では浴槽の耐用年数を考慮すると半分くらいしか保険金はおりないだろうとのこと。そして、国交省のガイドラインによると残額を借主に請求することは認められず借主には支払い義務はないので、借主が自主的に支払わない限り大家の負担になるかもしれないと言われました。大家の私としてはこれは借主の過失に起因するものなので
管理会社の言うことに納得できません。たとえ分割でもいいので残額を借主に支払ってもらいたいと思っていますが、この考えは間違っていますか?また借主に支払ってもらうことが可能なのであればどのような手続きを踏んで進めるのがよいでしょうか?

秋山直人

秋山直人 弁護士(第二東京弁護士会)・宅地建物取引士・不動産鑑定士・その他

国土交通省の原状回復ガイドラインp24によれば、浴槽については、当該建物の耐用年数を用いて減価償却して考えるとされています。

そのため、建物が木造か鉄骨造かRC造かによって建物の耐用年数は異なりますが、いずれにしても、浴槽の新規交換費用をすべて借主に負担させることはできない、ということになります。

年数が経過している以上、浴槽の価値がその分減少しているので、借主に過失があったとしても、賠償責任としては、価値が減少した後の状態の浴槽の賠償になりますから、新規交換費用全額の賠償請求は認められないものです。

例えば交通事故で中古車が事故で全損になったとして、加害者に対する賠償請求が認められるのは当該中古車の時価であり、新車の購入代金の賠償が認められないのと同様です。

新品の浴槽に取り替える以上、一部が賃貸人の負担になるのはやむを得ないものといえます。

※この投稿は、2023年11月19日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。

相談者No.

327

早速のご回答ありがとうございます。
通常の使用によってではなく明らかな過失にて使用そのものできなくなった場合もやはりそうなってしまうのですね?
修繕では対応できずやむを得ず新品に交換せざるをえない状況でもそうなのでしょうか?

仮に新品交換ではなく、修繕で対応できる損傷だった場合もやはり同じ考え方になりますか?
(こちらは後学のため、教えて頂けますと幸いです)
よろしくお願いいたします。
秋山直人

秋山直人 弁護士(第二東京弁護士会)・宅地建物取引士・不動産鑑定士・その他

ベストアンサー

通常の使用によってではなく明らかな過失に
て使用そのものできなくなった場合もやはりそうなってしまうのですね?

→そうです。

修繕では対応できずやむを得ず新品に交換せざるをえない状況でもそうなのでしょうか?

→そうです。

仮に新品交換ではなく、修繕で対応できる損傷だった場合もやはり同じ考え方になりますか?

→修繕で対応できる場合には、修繕費の請求がそのまま認められる可能性があります。修繕によって原状に回復するだけであり、特に浴槽の価値が増していない場合です。
※この投稿は、2023年11月19日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。

相談者No.

327

大変よく分かりました。
(スッキリしました。)
ありがとうございました。
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