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復旧工事について

相談者No.1
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マンションを購入して新生活をはじめ、気に入った家具を購入して設置しました。
その中に、壁付けで使用する収納棚付きの大型デスクもあります。地震の際に壁から外れて動かないように、壁柱に穴を開けて固定する工事を業者に依頼しました。
そうしたところ、マンション管理組合の管理人から、壁柱に開けた穴を塞いで復旧工事をするように求められました。デスクを設置した業者には、壁柱の強度に影響を及ぼさずに工事してもらうように依頼しましたから、問題はないはずです。
それなのに、復旧工事をしなければならないのでしょうか。

齋藤 拓

齋藤 拓 弁護士(福岡県弁護士会)

建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」といいます。)57条は、区分所有者が、建物の保存に有害な行為や、建物の管理又は使用に関して区分所有者の共同の利益に反する行為(共同利益背反行為と呼ばれます。)をした場合、又はそのおそれがある場合に、管理者等が、その行為の結果の除去や予防等を求めることができると定めています。
 建物全体に係る一つ一つの壁柱は、構造上の共有部分とされます。本件では、これに穴を開ける行為が、区分所有法57条に規定する共同違反背反行為に当たるかどうかが問題となります。
 デスクを設置した業者が専門業者であり、壁柱の強度に影響を及ぼさないように工事したことが仮に証明された場合には、建物の保存に有害な行為であるとはいえないわけですから、管理者側の主張は認められないようにも思われます。
 しかし、区分所有法57条が定める請求の対象となるのは、建物の保存に現実に有害な行為に限定されるわけではないと裁判所は判断しました(東京地裁平成3年3月8日判決)。区分所有者が、区分所有法17条1項が要求する集会の決議に諮ることなく、個々の判断で共有部分に変更を加えること自体が、共同利益背反行為に当たるというべきであることをその理由として挙げています。
 本件では、デスクの設置を専門業者に依頼して、建物の強度に影響が生じないように工事していることから、建物の保存に有害ではないことを証明できる可能性がありますが、裁判所の考え方に基づけば、このような場合であっても、共有部分に変更を加えることになる以上、集会において、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の決議が必要になります。
 ですから、マンションなどの集合住宅において、区分所有者の居室内など専有部分に関する工事であっても、共有部分にわたる場合には、集会の決議に諮らなければいけません。専有部分を希望どおりに使用するための問題など、区分所有に関してお悩みの場合には、弁護士にご相談ください。
※この投稿は、2019年12月08日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。
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