相談者No.52
現在進めている新築案件で数ヶ月前に約1億円の請負契約を締結した建設会社から、
着工間際になって「やはり1.5億でないと建てられない」と言われました…。
幸いまだ着工金支払い前なので現時点で建設会社を変えようかと考えているのですが
この場合法的には請負契約の解除を当方と先方どちらからすべきでしょうか?
主な理由は請負契約してから設計チームが確認申請するまでの数ヶ月で
大幅に建築費が高騰したということです…
(ぼっているのではなく実際に原価が高く単純に見積が甘すぎただけか、あるいは仕事取りたくて安い金額を提示してしまったのだと思います)
特に金額のインパクトが大きいのは下記の4点です
①杭工事が想定よりも高くなった
②サッシの価格が上がった
③サブコンが法定福利費を請求するようになった
④隣地との距離が近すぎるので無足場工法でしか建てられないことがわかった
※④は当初からわかっていたことですが施工できるという話でした。有効距離250mm
足場を組むため全体を少し狭くすることで通常の工法に変更可(その場合は-2500万)
追加で払えないなら工事できないということなので、私としてはそれなら他の建設会社に変更しても良いのですが、
その場合は契約解除が必要かと思い、「追加は払えない」という理由で当方から契約解除したら違約にならないか?を懸念しています。
※前提としてこの建設会社と特に関係性が悪いわけではない(先方も謝罪している)ので全面戦争するつもりはなく
無理やり当初の金額でやらせるより「工事できないなら別の会社に切り替える」と伝えればそれで終わると思うのですが
万が一後になって揉めると嫌なので、念のためきちんとした手続きを踏みたいと思っております。
アドバイス頂けたら幸甚です。
よろしくお願いいたします。
ベストアンサー
※別途頂いた契約書の情報をもとに回答差し上げますが、詳細な事情等によっては、結論が異なることもございます。したがって、回答どおりの結論をお約束するものではございませんのでご注意ください。
※頂いた契約書・約款どおりの契約が有効に成立したことを前提としております。
<解除及び損害賠償請求の可否>
相手方が請負代金を当初の1.5倍の金額で要求してきていますが、その理由が①杭工事が想定よりも高くなった、②サッシの価格が上がった、③サブコンが法定福利費を請求するようになったというもので、いずれも見積もりの甘さに起因するのであれば、約款32条1項に基づく請負代金の増額請求に応じる必要はございません。
そして、相手方は、約款32条1項に基づく請負代金の増額請求をできない以上、貴社が増額分も含めた請負代金を支払わないことを理由に工事に着手しないことは、「正当な理由なく」着手期日を過ぎても工事に着手せず、また、工事を遅らせ工期内に工事の完成の見込みがなくなったものといえ約款34条2項1号、2号に該当する事由があるといえます。そこで、貴社としては、約款34条2項柱書前段に基づき、本件請負契約を解除することができると考えられます。また、約款34条2項柱書後段に基づき、損害賠償請求をすることができると考えられます。
<損害賠償請求の範囲>
損害賠償の金額ですが、工事の未着手によって貴社に生じた損害分に限られます(法律の世界では、「因果関係がある範囲で損害賠償請求が認められる」などといいます)。例えば、別の建設会社に依頼することになり余分にかかった手数料、予定通りの建物の引渡しを受けていれば本来得られていたはずであるのに得られなかった賃料相当額等が損害として考えられます。
また、別途、約款33条1項本文に基づき、違約金(遅延損害金も含まれます)を請求できる可能性がございます。違約金の請求が認められる場合、同条にしたがい、延滞日数(本件の場合の延滞日数の算出方法は約款上不明ですが、未着手によって実際に影響のあったといえる相当な日数を主張できるものと思われます)に応じて、請負代金額に対し年10%の割合で計算した額を請求できるでしょう。
<FKSM様のご懸念について>
「契約解除したら違約にならないか」というFKSM様のご懸念ですが、約款34条2項柱書前段に基づく解除であれば、違約とはなりませんし、損害賠償責任を負うこともございません。
※この投稿は、2020年02月28日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。
返信が遅くなり申し訳ございません。
アドバイス誠にありがとうございました。
今回の場合は先方が工事できないと言っているのですが、
先方から契約解除の手続きをしてもらうのではなく、
こちらから解除通知した方が良いのでしょうか?
(契約しているので何かしら解除の手続き必要ですよね?)
また、確認書ももらった方が良いでしょうか?
度重なる質問で大変恐縮ですが
何卒、よろしくお願いいたします。
<解除の方法について>
契約の解除は、FKSM様側から行う形で構いません。
また、頂いております約款34条2項柱書前段には、「書面をもって」と記載がありますので、書面で解除の通知を相手方にする必要がございます。事後的に解除をしたかどうかが争われるのを防ぐため、書面で解除の通知をしたことが分かるよう形に残しておくと良いです。例えば、配達証明付きの内容証明郵便で送付した上で、その旨をメールで伝えるなどといった方法が考えられます。
<確認書について>
確認書は、解除の通知について相手方から受け取る書面のことをイメージされているのでしょうか。
そのような意味であれば、書面で解除の通知をしたことの裏付けとなりますので、受け取っておく方が良いと思われます。
<注意点>
なお、前回の回答でもお伝え致しましたが、ご提示頂いている契約内容が有効であることを前提とした回答になります。その他、詳細な事情によっては結論や必要な対応が変わる可能性もございますので、その点はご承知おきいただければと思います。
※この投稿は、2020年03月04日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。
アドバイス誠にありがとうございました。よく理解できました。検討させていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。