⑴ 遺品整理、クリーニング、お祓い等の費用について
これらの費用を法的にご遺族に負担して頂かなければならないといえるかは微妙なところです。
もっとも、ご遺族の任意でお支払い頂く分には問題ないものと思われます。
⑵ 風評被害について
東京地裁平成29年9月15日判決(平成28年(ワ)第32886号)では、亡くなった賃借人が自殺したと認められないことや生前持病を抱えておらず、病死することを認識したり、予見したりできなかったことを理由に、賃借人には善管注意義務違反はなかったとし、マンションの減収等を損害とする部分についての損害賠償請求は認めませんでした。
この裁判例を参考にすれば、賃借人が自殺した場合や賃借人が生前持病を抱えており、病死することを認識・予見できた場合でなければ、善管注意義務違反があるとして損害賠償請求をすることは難しいといえます。
そのため、本件のような病死の事案で、風評被害が生じるおそれを理由に損害賠償等をご遺族に求めることは望ましくないと考えます。
自然死は人が生活する以上あり得ることですので、このような結論は仕方のない部分があります。賃貸人としては予め損害保険契約を締結するなどして事前の対策をうっておくことが一般的な対応になるでしょう。
※この投稿は、2020年03月10日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。