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投資の対象は新耐震基準に基づいて建てられた建物にすべき?

作成日: 2020/11/20 投稿者名:溝口 矢
更新日: 投稿者資格:弁護士(東京弁護士会)
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【執筆者:溝口 矢】
弁護士(東京弁護士会、72期)。
慶應義塾大学法学部・同大学法務研究科卒業。弁護士法人Martial Artsにて不動産関係の問題に多数関与。(法律相談、交渉、訴訟、講演等)。
不動産投資DOJOにてコラム執筆中。





新耐震基準に基づいて建てられた建物が良い?

 

1981年の建築基準法の改正を境に耐震基準(建物が最低限の耐震能力を有することを保証し、建築許可をするための基準)は大きく変わりました。この改正前の耐震基準のことを旧耐震基準改正後の耐震基準のことを新耐震基準といいます。(なお、耐震基準については、「建物の耐震基準について学ぼう!」という記事で詳しく解説しています。)

 

2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震の影響により、地震によって生じるリスクにつき、一般に関心が高まっています。特に不動産投資家は地震によって生じるリスクに対して敏感です。そうした背景もあり、新耐震基準に基づいて建てられたマンションなのか否かによって物件価格や人気に大きな生じることも少なくありません。

 

(旧耐震基準に基づいて建てられたマンションでも、耐震補強がされているものならば耐震性に大きな問題はないでしょうが、売却のしやすさという観点も加味すると、)新耐震基準に基づいて建てられたマンションを選ぶ方が良いでしょう。

 

賃貸の入居者からしてみれば、物件自体は自分の所有物ではないという意識があることから、マンションが新耐震基準に基づいて建てられているか否かが、入居を決める際の大きなポイントとなることはないといえます。このように入居率・空室率という観点からは、新耐震基準に基づいて建てられたマンションであるか否かはそれほど重要な要素ではありません

 

他方で、売却のしやすさという観点で見たときに、新耐震基準に基づいて建てられたマンションであるか否かは重要な要素となります。物件自体が購入者自身の所有物となるため、あえて旧耐震基準に基づいて建てられたマンションを購入する意義は乏しいからですこのような観点からは、売却時に懸念点がひとつなくなる新耐震基準に基づいて建てられた物件を選ぶことが合理的といえます。

 

 

ワンポイント 立地条件にも注意!

「建物の耐震基準について学ぼう!」という記事でも言及しておりますが、新耐震基準をクリアしているかどうかとともに、物件の立地条件等にも注意をするようにしましょう。

たとえば、建物が存するエリアが、

・沿岸部にある場合→津波

・木造建築の多いところである場合→火事

・斜面の付近にある場合→地すべり・がけ崩れ

 

といったように、地震由来で起きる二次災害等の影響を受けるおそれがあります。こうした場合、いくら建物の耐震性能が高くても、安全面に問題がないとは言い切れないでしょう。

 

地震の被害が多い地域か否かについては、国土交通省のハザードマップポータルサイトにて、チェックすることをおすすめいたします。

 

 

新耐震基準に基づいているか否かをチェックしよう!

 

新耐震基準であるかどうかを知るためには、仲介業者やマンションが存する役所の建築指導課等を通じて確認済証検査済証を見ると良いです。

 

確認済証に記載されている日付が198161日以降であれば、新耐震基準を用いての建築確認が実施されたといえます。新耐震基準に拠らなければならない時点が同日以降であるからです。

 

また、同様に198161日以降の検査済証が存在していれば、当該建物が新耐震基準に拠って建てられていることは明らかであるといえます。このような検査済証は、耐震診断により新耐震基準をクリアしているとの確認がなされたことの証明書にほかならないからです。

 

 

旧耐震基準に基づいて建てられた建物の表面利回りが高くても…

 

1970年に建てられた、すなわち、旧耐震基準に基づいて建てられた都心にある1Kのマンションを例にとって収益性を想定してみましょう。現在が2020年であることを前提とします。

 

50年、最寄駅から徒歩5分、賃料月6万円、物件価格400万円であった場合、年間収益72万円(=6万円×12か月)、表面利回り18%(=72万円÷400万円×100)となります。

 

一見すると高利回りで魅力的に思えるかもしれません。しかしながら、実際には潜在的なリスクがあったり、大きなコストが生じる可能性があるため、注意が必要です。

 

上述のとおり、旧耐震基準に基づいて建てられた建物の場合、売却がスムーズにできない(なかなか買い手がつかない)可能性が十分にあります。

 

また、建て替えも意識せざるを得ません(鉄筋コンクリート造(R C造)のマンションは、計算上は100年以上もつとされるものの、現実には50年も経たないうちに建て替えられることが少なくありません)。

 

加えて、マンションの経年劣化に伴い、管理費や修繕積立金が時間の経過と共に値上がりしていく傾向にあることについても注意が必要です。大規模な修繕が必要となれば、各区分所有者から承諾を取り付けるなどの手間もかかることでしょう。

こうした経費が生じた場合、年間収益から差し引くことになりますから、表面利回りの高さに比して、実質利回りは低くなります。また、リスクも少なくないため、経済面以外の対応コストも軽視できません。表面利回りに惑わされず、物件としっかり向き合って投資に臨むことが重要だと分かる一例といえるでしょう。



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