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セットバック後の私道の掘削について

相談者No.1020
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42条2項道路(私道)に接道しており、セットバックをして半年ほど前に竣工したマンションの購入を検討しています。元々その接道している42条2項道路(私道)は複数人の共有となっていますが、本物件の売主に持分はありません。

1 、今回のように接道の持分がなく、セットバックした場合は私道持分有りとなるのでしょうか。

2、本物件建築時は承諾書がなくてもライフラインを引き込むため、その持分の無かった私道の掘削はできたとのことですが、セットバックをして仮に私道持分有りになったとしても、元々持分の無かった私道部分の掘削は承諾書無しに行っても法的に問題ないのでしょうか。(将来的に行う必要が出た場合)

3、上記2で現行は承諾書が必要である場合、令和5年4月からの民法改正後も変わらないでしょうか。

秋山直人

秋山直人 弁護士(第二東京弁護士会)・宅地建物取引士・不動産鑑定士・その他

ベストアンサー

1について

セットバックした部分については所有していても、もともとの2項道路本体については持分がないわけですから、道路本体部分について私道持分はないということになると思います。

2について

道路本体部分について掘削をするには、現行法では、道路本体部分の私道所有者の承諾が必要だろうと思います。

3について

改正民法では、電気、ガス、水道等の継続的給付を受けるために設備の設置が必要な場合には、必要な範囲で私道に設備設置ができることになります。ただし、私道所有者にとって損害が最も少ない方法を選択しなければならないのと、償金(賠償金)の支払義務があります。

改正民法
(継続的給付を受けるための設備の設置権等)

第213条の2 土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用
 しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付(以下この項及び
 次条第1項において「継続的給付」という。)を受けることができないときは、継続的給付を
 受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用する
 ことができる。
2 前項の場合には、設備の設置又は使用の場所及び方法は、他の土地又は他人が所有する設備
 (次項において「他の土地等」という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければなら
 ない。
3 第1項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用する者は、
 あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地等の所有者及び他の土地を現に使用している
 者に通知しなければならない。
4 第1項の規定による権利を有する者は、同項の規定により他の土地に設備を設置し、又は
 他人が所有する設備を使用するために当該他の土地又は当該他人が所有する設備がある土地を
 使用することができる。この場合においては、第209条第1項ただし書及び第2項から
 第4項までの規定を準用する。
5 第1項の規定により他の土地に設備を設置する者は、その土地の損害(前項において準用
 する第209条第4項に規定する損害を除く。)に対して償金を支払わなければならない。
 ただし、1年ごとにその償金を支払うことができる。
6 第1項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その設備の使用を開始するために
 生じた損害に対して償金を支払わなければならない。
7 第1項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、
 その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならない。
※この投稿は、2022年11月05日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。

相談者No.

1020

秋山様

早々ご回答ありがとうございます。

大変参考になり、助かりました。
改正民法の文面添付もありがとうございました。
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