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契約書、特約、原状回復について

相談者No.1375
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1年半住んだマンションをあと1ヶ月ほどで退去します。
ペット飼育可物件で飼育の場合は
敷金2ヶ月分、100%償却(償却分の使いみちなど表記なし)
ペット飼育に伴い契約書?覚書を別途交しております。

退去する意思を電話で管理会社に伝えたところ
「敷金は全額償却ですので、大家さんが全額もらうお金であって修繕費には一切充てられません」と言われました。
ペットの覚書には「敷金を超過する場合には追加で徴収」と記載があるのに対し
管理会社は「敷金は使わない」の一点張り。
賃貸借契約約款 には「敷金100%償却、原状回復費用は別途借主負担」と記載
仲介業者にてペット覚書はペット飼育に関する契約書だと言われて書いたものなので
2枚の契約書が別々のことを記載していて混乱しています。

そして、賃貸借契約約款 の故意過失の場合経過年数を考慮しないものとする。との文。
国交省ガイドラインには経年劣化、経過年数要考慮とされていますが
約款にて考慮しないものとすると書かれている以上は経過年数を考慮してもらえないのでしょうか?


入居時、フローリングは新品ではなかった(築27年マンション)(大きな傷跡、フローリングの浮き、釘が飛び出ている)のに
経過年数を考慮しないものとするとされたら
いつ交換したか分からない
入居時点で傷だらけだったフローリングを
こちらが新品に交換しなければならないのでしょうか?
ペットがいるため入居後歩くときについた爪跡なんかはありますが
長く住むつもりで借りた家だったのと
傷が多すぎて写真などは残していません。
(残してないので、大家側に前回施工の証明書を提示してもらうつもりです)

仲介業者さんから敷金についての説明は
「敷金償却とは、かえってこないお金のことです。」との説明しか受けておりません。

知恵をお貸しいただきたいです。
よろしくお願いします。

秋山直人

秋山直人 弁護士(第二東京弁護士会)・宅地建物取引士・不動産鑑定士・その他

「ペットの覚書には「敷金を超過する場合には追加で徴収」と記載があるのに対し
管理会社は「敷金は使わない」の一点張り。
賃貸借契約約款 には「敷金100%償却、原状回復費用は別途借主負担」と記載」

→ご相談者様としては,覚書に「敷金を超過する場合には追加で徴収」とあるので,これが一般的な賃貸借契約約款に対する特約にあたり,覚書の規定の方が優先する,という主張が考えられます。

「そして、賃貸借契約約款 の故意過失の場合経過年数を考慮しないものとする。との文。
国交省ガイドラインには経年劣化、経過年数要考慮とされていますが
約款にて考慮しないものとすると書かれている以上は経過年数を考慮してもらえないのでしょうか?」

→ご相談者様としては,故意過失の場合に経過年数を考慮しないという約款の規定は,消費者契約法10条に違反して無効,という主張が考えられます。国交省ガイドラインでは故意過失の場合にも経過年数を考慮しないとしているので,そのような一般の解釈に比べて消費者の義務を加重しており,信義則に反して消費者の利益を一方的に害する,という主張です。

〔消費者契約法〕
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

賃貸人側も賃借人に厳しい内容の約款を用いているので,通常の場合よりはハードルが高いであろうことは事実ですが,以上のような主張をして争う余地はあります。
※この投稿は、2022年08月09日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。
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