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建物賃貸借の更新拒絶の正当事由の存否

相談者No.1127
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当方は、集合住宅(総戸数6戸)の賃貸人です。
先般、ガス料金が高すぎるという賃借人からの相次ぐ指摘を受け、現在のガス会社を他社に変更すべく検討を始めました。
調べてみると、ガス業界にも競争の波が押し寄せており、変更により、賃借人にも家主にも、相当なメリットが生じる事が判明致しました。
そこで、 新規に契約する予定のガス会社を通じ、手続上の要件である全戸の同意書を集めようとしたところ、1戸のみが、同意書の提出を拒んだ上、当方および管理会社からの連絡を遮断してしまいました。
他の居住者の話によれば、変更の動きを察知した現在のガス会社が、新会社についての悪い噂を伝えて来た上、同意書の提出を拒んで変更を妨害してくれれば相当の見返りを与える旨の提案をして来たという事で、上記反対者は恐らくその誘いに乗ったものと考えられます。

結果として、先述の試みは、頓挫せざるを得ませんでした。
しかし、当方としても、他人の褌で相撲を取る様な汚い賃借人との間でこのまま契約を継続するのは不本意ですし、その退去を実現すれば改めて当初の目的を完遂する事も可能となりますので、11月に予定されている当該居住者との契約更新を拒絶する旨、内容証明で通知を行いました。

問題は、その理由として、現ガス会社との通某ではなく、「当方との連絡を遮断して話し合いを拒み続けた事」のみを挙げざるを得なかったことです(上述した他の居住者の証言のみでは、通某が実在する事の証拠としては弱いと考えました)。
もし、上記事情のみでは信頼関係の相当程度の破壊を基礎付ける正当事由として不十分という事であれば、立退料を払わずに退去を実現させる為の更なる働き掛けが必要となります。
この点につき、私としては、先方が依然として連絡の遮断を継続している事を逆手に取り、当方による修繕受忍の要求に応じなかった点を付け加えたいと考えております(先日、話し合いの為に先方を訪れた際には留守の様でしたが、そもそもチャイムが鳴っていませんでした。玄関ドアに張り紙をする等の手段によりその修繕を申し出ても、恐らく先方は無視して来るでしょうが、本人がその張り紙を剥がす現場を防犯カメラに収める事が出来れば、信頼関係の破壊の実態を示すものとして「正当事由」認定にプラスになるのではと考えております)。

と、側から見れば馬鹿らしい事この上ない話だとは思いますが、家主として適正な事業運営を続けて行く上では避けて通れない道であると考えております。
「正当事由」認定の条件がどの程度のものか、私が現在考えている手段で足りるのかという点に付き、ご教示頂ければ幸いです。

秋山直人

秋山直人 弁護士(第二東京弁護士会)・宅地建物取引士・不動産鑑定士・その他

お気持ちはわかりますが,更新拒絶の「正当事由」のハードルはかなり高いです。

直接の連絡が取れないというだけでは難しいと思います。

賃貸人側で居室内の修繕の必要があり,賃借人に協力を求めても一切応じないという場合には,「正当事由」の問題というより,賃借人の債務不履行の問題として,契約解除の理由になり得ます。

ただ,その場合でも,裁判官からみて,これはもう賃貸借契約を継続するのは困難だと首肯せしめるだけの信頼関係が破壊された状況と,それが賃借人の責任によるものであることが必要です。
※この投稿は、2022年01月22日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。
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