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5年間賃貸として住んでくれたら、物件(土地建物)を譲渡する場合

相談者No.1012
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はじめまして、本件のカテゴリとしては「賃貸」「売買」「ローン」にまたがるかなと思います。

当方、戸建賃貸用物件を所有している大家です。

現在入居募集中の物件を掃除しに行っていたら、近隣の借家住まいのお爺さん(年金暮らし)から、
「わしの終の棲家を購入して住みたいと考えている、住み慣れた地域だし引っ越しも楽だから、お宅の物件を売ってほしい。現金なら300万円なら出せる」
と言われました。

実際、「物件の購入+工事費」は300万円よりも高い金額でしたので、300万円で売却すると、私が赤字になってしまいます。かといってお爺さん自身が銀行に住宅ローンを申し込みにいっても審査が厳しそうな感じです。
でも、現在の家は雨漏りだらけでお風呂も無くて困っているようなので、何とか当方の物件を購入してもらいたいと考えています。

そこで思いついたのが、
「礼金及び保証金として、現金300万円を最初に支払ってもらい、家賃4万円で5年間滞納なく住んでもらったら、その物件を差し上げる」
というものです。イメージとしては、『頭金300万円で、残金は月々4万円の5年間分割払い』です。具体的には下記のとおりです。

 ・5年後の不動産簿価:246万円
 ・「礼金:54万円」+「保証金:246万円」=300万円を入居時に支払ってもらう
 ・5年間の定期借家契約とする(家賃4万円)
 ・5年間家賃滞納なく住んでもらったら、保証金と物件(土地建物)代金を相殺する。※「保証金=代金」なので、譲渡課税および贈与課税されない(と、思っています)
 ・登記費用は貸主(売主)負担 ※お爺さんに5年経過後に諸費用の説明をする手間を省きたいので

ご相談したい事項としては
 1)そもそも、この方法で違法な点が無いかどうか
 2)賃貸借契約書、売買契約書をそれぞれ作成したほうが良いと思うのですが、売買契約書にどのような項目を盛り込めば良いか?
 3)万が一、5年間経たずに(例えば2年目)退去した場合、保証金を借主(買主)に返却する必要があるのかどうか。また返戻率の考え方はどうすれば良いか?
  ※売主としては返却したくない
  ※返戻率は銀行の住宅ローンの保証料戻し率を参考にしてよいか?
 4)その他留意した方が良いこと。

お手数おかけしますが、アドバイス頂ければ幸いです。





秋山直人

秋山直人 弁護士(第二東京弁護士会)・宅地建物取引士・不動産鑑定士・その他

家賃4万円で5年間の定期借家で滞納なく家賃を5年間240万円払うことを停止条件として,売買契約を締結するということであれば,法律上はあり得るかと思います。定期借家契約と売買契約を締結するイメージです。

300万円で買いたいと思っているおじいさんの経済的負担は合計540万円になるので,おじいさんがそれで納得するかはまた別の問題ですが。

保証金はあくまで通常の借家契約に基づく保証金として取り扱った方が税務上問題ないでしょう。

通常の保証金なので,中途で解約すれば無利息で返還する必要があります。もっとも,保証金の一部償却規定(例えば賃料○か月分)を設けることはあり得ます。

停止条件を満たした場合には,5年後に,保証金返還債務246万円と売買代金請求権246万円を相殺するという整理にすれば良いかと思います。

保証金と保証料は全く違いますので,住宅ローンの保証料戻し率を参考にするのはおかしいです。

売買ですので,譲渡益が出れば,譲渡所得課税はされます。ただ,246万円の売買では譲渡益は出ないですかね。
※この投稿は、2021年10月29日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。

相談者No.

1012

秋山様

早々にご返信頂きまして、ありがとうございます。
分かりやすいご説明で感謝しております。

頂いたコメントに付きまして、下記ご返信です。

『保証金の一部償却規定(例えば賃料○か月分)を設けることはあり得ます。』
→賃貸経過期間に応じて、段階的に保証金償却金額を設けようと思っていますが、問題ないでしょうか??
(例えば、1年未満:賃料40か月分、2年未満:同49か月分....、4年未満:同57か月分)

『売買ですので,譲渡益が出れば,譲渡所得課税はされます。ただ,246万円の売買では譲渡益は出ないですかね。』
経過年数に応じた、減価償却を加味した上で、売買時の簿価(土地+建物)が246万円になりますので、
譲渡益は発生しないと考えております。

どうぞよろしくお願いいたします。
秋山直人

秋山直人 弁護士(第二東京弁護士会)・宅地建物取引士・不動産鑑定士・その他

賃貸経過期間に応じて段階的に保証金償却金額を増やすというのはありだと思いますが,金額が大きすぎる印象はあります。

通常の賃貸借ではあり得ない償却金額にしてしまうと,税務上の問題が生じるリスクも出てくるかもしれません(税務については専門外ですが)。
※この投稿は、2021年10月29日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。

相談者No.

1012

秋山様

『通常の賃貸借ではあり得ない償却金額にしてしまうと,税務上の問題が生じるリスクも出てくるかもしれません(税務については専門外ですが)。』

→私もその点、について懸念していましたので、懇意にしている税理士さんに確認したところ、”問題無し”とのことでした。

おかげさまで、頂いたアドバイスを基に具体的に話しを進めていきたいと思います。
この度はありがとうございました。
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